幸せという病気



二人が婚約を交わした次の日、武は竜司のもとへと向かう。

昨日の夜の事を話すと、竜司は自分の事のように喜んだ。





「武さんっ・・・さすが男ですねぇ」





ニヤつきながら竜司が武をからかうと、武は照れを隠して見せる。




「ちっ・・・いちいち照れるぜ・・・」




ちょうどその頃、伊崎家では電話が鳴り響いた。

祖母が慌てて受話器を取ると、澤木と名乗る男が武の在宅を確認する。

そして祖母が不在を伝えた。





「いえ・・・武は今、出てしまっていて、おりませんが・・・」

「そうですか。いつ頃お戻りになりますでしょうか」

「夜には帰ってくるとは思いますが・・・」

「ではまた改めます」






一方、病院では・・・。





「竜司よ」

「はい」

「おまえら・・・婚約したんじゃなかったっけ?」

「あっ。そうなんですよ。タイミング逃しました」



そう言いながら竜司が笑うと、武は自分の携帯のメール履歴を確認する。



「武さん?何見てんすか?」



竜司が聞くと、武は受信メールを読み出した。