幸せという病気





「・・・おかえり」








武がそう言うと、すみれは何も言わず頷いた。

その後、小さな声で武に謝る。






「勝手で・・・ごめん」


「・・・カレー作ってくれたら許す」


「・・・ルー・・・無い・・・」


「じゃあ一緒に買いに行こ」


「え・・・」







「一緒に買い物して・・・一緒に作ればいい」




「・・・」




「で、一緒に食べて、その後一緒に風呂入ってさ・・・で、毎晩一緒に寝よう」




「・・・武・・・」




「・・・この子と三人で・・・一緒に・・・」




「・・・」




「一緒に・・・死ぬまで笑って暮らそう」








すみれは頷きながら、思い切り泣いた。






悲しさではなく・・・嬉しさで・・・。










「いっぱい泣かせて・・・ごめん」









武のその言葉にすみれは首を横に振り、目いっぱいの涙で、これまでの恐怖や不安の燃えカスを全て捨て去る。





「すみれ・・・」



「・・・はい」



「・・・結婚しよう」



「・・・うん」



「一生・・・大事にして・・・一生俺が幸せにしてやる」



「・・・ありがとぉ・・・大事な探しもの・・・見つかった?」



「・・・見つけたよ?・・・もう二度と失くさない」



「そぅ・・・よかったねっ武」









そして二人はすみれの部屋に上がり、産まれてくる子供の話をしながら眠りについた。

死ぬ事など・・・一切考えず、一切口にせず・・・。




ただ、未来だけを見つめてその光を輝かせた。