「スーパーで何買ってきたの・・・?」
「ん?・・・ほらっ・・・晩御飯を・・・」
「レジ袋・・・持ってないじゃん・・・」
「えっ・・・あっ・・・マイバッグだよマイバッグ」
「へぇ・・・じゃあ何買ったか見せてよ」
武はそう言い、ゆっくりとすみれに近づく。
「えっ・・・見せてって言われても・・・」
「何作るの?今日」
「・・・カレー?」
「ジャガイモとかそんなに入る?そのバッグに」
「・・・ルーだけ・・・買ったの・・・」
武は、互いの傘が当たらないギリギリの所まで近づき、電話を切って直接話し掛けた。
「こっちの傘・・・おいで?」
「・・・やだ」
「なんで・・・?」
「・・・悔しいもん」
「じゃあ俺がそっち行こうか?」
「・・・やだ」
「なんで・・・?」
「・・・私が・・・行くから・・・」
「・・・じゃあ捨てちゃえ?」
「・・・」
「もう・・・傘も・・・色んなモンも全部捨てて・・・こっち来い」
「・・・もぉ!嫌いッ!!」
「えーっ!」
「・・・嘘」
すみれの青い傘が濡れた地面に落ち、二人は抱き合う。
