「そっか・・・すみれさんは?帰ったの?」
「うん・・・一応ね」
「一応?」
「まぁ・・・お兄ちゃんのとこに行ったようなもんかな」
「え?どっち?」
「お兄ちゃんがすみれさんに会いに行くのか・・・まぁどっちでもいいや」
「遥・・・寝ぼけてる?」
「寝ぼけてない・・・あの二人の磁石は中々うまくくっつかないから、ちょっとしたサプライズ作戦?ってやつ」
「何?それ」
「お互いに大好きだとね?見えない磁石でちゃんとピタってくっつくんだよ?」
素直に甘える遥を見て、竜司は今まで以上に遥を愛おしく感じる。
「だから私は竜司んとこに来た」
「じゃあ今日は一緒に寝ようね?」
「うんっ」
そして二人は、一つのシーツにくるまい眠りについた。
温めあった、かけがえの無いその愛が消えぬように。
一方、二人が眠る頃、武は公園に着いた。
「・・・ってか・・・何探すんだ?」
とりあえず遥に電話を掛ける。
《お掛けになった電話は電波の届かない場所におられるか・・・》
「しまったぁ!・・・病院だったなあいつ・・・」
仕方なく帰ろうとするが、その時、武の脳裏にすみれが現れた。
公園から見えるすみれの部屋には電気が点いていない。
「寝てるよね・・・」
そして諦めて帰ろうとした瞬間、武の携帯が鳴り響く。
