幸せという病気

そして遥に武の事を伺った。






「武は・・・」


「ん?」


「武は・・・今・・・」


「あっ、お兄ちゃんなら大丈夫だとか言って家に帰ってるよ・・・担当の先生にも止められたのに今日も仕事行って・・・」


「えっ・・・あの体で?」


「うん・・・今日はなんともなかったみたいだけど・・・」


「そう・・・」




すみれはその後、遥に全てを話す。

武との別れ、今の気持ち、そしてこの先の事・・・。

遥は、ただ黙って聞いていた。

特に口を挟むわけでもなく、優しく頷きながら。


すみれが気持ちを伝えきると、遥は諭すようにすみれに投げかける。







「すみれさん?」



「・・・うん」



「私は・・・すみれさんが大好きだよ?」



「・・・そんな・・・」



「だから・・・何があっても応援したい」



「・・・」



「いつか・・・私が屋上で死んじゃってもいいかなぁなんて考えた時、すみれさん言ってくれたよね?」



「ん?」



「香樹を連れてきてくれて・・・この子を抱きしめてあげられるのは、遥さんしかいないって・・・」



「・・・」



「すごく助けられた・・・」



「・・・」



「すみれさん・・・赤ちゃん・・・ホントは抱いてあげたいんだよね?」



「・・・」



「ホントはこの手で・・・抱きしめてあげたいんだよね?」







遥がすみれの両手を握ると、すみれは何度も頷きながら涙を流した。