幸せという病気

竜司は、ツボにはまった香樹をなんとか抑えると、今日はどうしてこんなに早く病院に来たのかを聞いた。

「もぉ~だからぁ~早帰りだってばぁ」

「だからぁってまだ一回しか聞いてないぞ・・・?」

「すみれ先生が言ってたけど、先生達の会議があるって言ってたぁ」

「そっかぁ。おまえご飯食ったか?」

「お弁当食べたよ?あっねぇねぇ竜司兄ちゃん」

「ん?」

「お姉ちゃんのどこが好きなのぉ?」

突然の香樹の問いに、竜司は驚く。

「ねぇどこどこぉ?」

「どこって言われても・・・なぁ?そりゃぁ・・・全部・・・?」

「嫌いなところは無いのぉ?」

「香樹・・・なんでそんな事、急に聞くのさ」

「別にぃ~」

「なんだそりゃ。香樹は学校で好きな子いないのか?ん?どうなんだおぃ」

竜司が香樹の肩を軽く突くと、香樹は恥ずかしそうに答えた。

「・・・いない」

「ホントかぁ?ちゃっかり彼女いたりしてぇ。ほらっ気になる子とかさ」

「・・・あゆみちゃん・・・」

「えっ?やっぱりいるじゃんかっ!!同じクラスの子とかかっ!?」

香樹は下を向きながら、照れている。

そして竜司にだけ話し始めた。

「・・・誰にも言っちゃダメだよ?」

「言うわけないじゃん。何?あゆみちゃんのどこが好きなの?」

「・・・優しいとこ・・・と、顔」

「顔って・・・その歳でさすがだな・・・血は争えん・・・」

「えぇ?」

「あっいやいや。で、どうなんだ仲良しなのか?」

「うんっ仲良しだよ?」

「じゃあほら。告白とか」

「何?それ」

「好きって言っちゃえよ」

「やだよぉ~・・・僕、顔が赤くなっちゃう」

「なんだぁ男だろぉ香樹っ」

そう言われると、今度は香樹が興味深そうに竜司の顔を見上げて尋ねる。

「竜司兄ちゃんはお姉ちゃんに好きって言ったのぉ?」

「なっ・・・俺か?当たり前じゃんっ」

「緊張した?」

「したかなぁ・・・まぁほれっ竜司兄ちゃんは大人だからな」

「関係あるのぉ?」

「・・・さぁ。とにかく。ちゃんと好きなら好きって口に出して言わないと、相手には伝わらないぞ?」