幸せという病気





「すみれ・・・昨日も今日も、泣いてばっかいるとお腹の赤ちゃんに笑われるぞ?」





「・・・」





「もう・・・我慢しなくていいから・・・」





「・・・」





「・・・無理に強くならなくていい」





「・・・」





「・・・すみれは・・・ゆっくりでいいから、何かに迷っても、何かに躓いても・・・自分らしく精一杯に生きな?」





「・・・武・・・」





「・・・俺の愛する人は・・・生きなきゃダメだ」





「でも・・・」





「・・・生きてれば・・・それでいい」





「・・・」





「もう・・・学校始まっちゃうよ?」






時計がちょうど七時を回り、そして二人は別れた。



一人では出せなかったその答えは、二人だからこそ・・・そして互いに好きだからこそ見出せた、唯一の光の道なのかも知れない。








すみれが出て行った直後、武は重い体を起き上がらせ、ロビーまで歩き祖母に電話を掛けた。


「あっ、ばあちゃん?」

「武・・・体はもういいのかい!?」

「あぁ。これから帰るから」

「帰るったって・・・まだ病院にいなきゃいけないんじゃないのかい?」

「・・・何言ってんの。会社行かなきゃ」

「そんな体で会社ったって・・・」

「ばあちゃん・・・親父ならどうすると思う?」

「え?」

武は祖母にそう尋ねると、その後、気丈な声で話し始める。