幸せという病気





「・・・そんなの・・・おかしいよ・・・今までなんとも無かったじゃん・・・なんで今になって病気に・・・」



「・・・遥?」



「・・・私が病気になったから・・・竜司はかからなかったんだって・・・ずっと思ってた・・・ずっと・・・そう思ってきた・・・私が病気になる事で、竜司が救われるなら・・・それでいいって・・・そう思ってきたのに・・・」



「・・・」










「今になって・・・全部、崩れちゃった・・・」









遠くで聞こえたチャイムの音をなんとか聞き取りながら、この時、遥は見出せた光を失った――。




そして、竜司は闇に逃げていくその幸せな笑顔を追った。



ただ無我夢中に、遠い彼方に消えそうな遥の笑顔をもう一度、心から探し求める。







「遥・・・ありがとう・・・でももう、一人にさせないから・・・もう・・・一人で淋しい思いはさせない・・・」








「・・・竜司がそうだから・・・私・・・いつまでも甘えちゃうよ・・・」








「・・・ん?」








「怖かったもん・・・」








「・・・」








そして遥は、張り詰めた糸が切れ、子供のように泣きだした。








「・・・ずっと・・・一人で怖かったょ・・・」








竜司は抱き締めたまま、遥の頭を撫でる。