幸せという病気

そして、武と遥。


「なんて暗い顔!?」

武は遥の頬を摘む。

「・・・うるさい」

「泣く位なら変な事言わなきゃいいじゃん」

「お兄ちゃんと違ってねぇ、私は繊細なのっ」

「俺は何?ガサツ?」

「そうじゃん。大体ねぇ、すみれさんに告ったのも勢いみたいな」

「あっ。それ言う?悪い?言っちゃったモンは仕方ねぇだろ」

「バカじゃない?・・・」

「おまえだって何?犬助けた男見てすぐ惚れちゃってさぁ」

「別にすぐ惚れたわけじゃないもん。竜司はねぇ、あぁ見えて繊細で優しいんです」

「へぇ~」

「ちょっと子供みたいだけど、誰かと違って素直で・・・」

「へぇ~」

「・・・」

「・・・おまえ化粧取れるとホント子供みたいだなぁ。ヒャヒャヒャッ」

「マジうざい・・・」

「はい、これ」

「何?」



武は、一枚の写真を手渡した。



「旅行の写真」


「あ・・・出来たんだ」


「いい顔してんのに、勿体ないなぁ」







写真には手を繋ぎ、笑っている遥と竜司が写っていた。



遥は写真を手にしたまま、黙り込む。


そして武が静かに話し始めた。