幸せという病気






「私はお父さんの子だから・・・」









「・・・」













「私は・・・お父さんとお母さんの子だから・・・嫌いになんてなれないよ・・・だって・・・会いたかったんだもん・・・ずっと・・・ずっと・・・・・・会いたかった・・・」













すると、ドアの向こうで遠ざかる足音が響く。







その親子の会話を見守り、竜司は香樹を連れに伊崎家へと走った。




その判断が正しいのか、間違っているのかはわからない。




ただ、自分に出来る事をしようと思った・・・。










《竜司君は、竜司君でいいんだよ?》










いつかの祖母の言葉が竜司の背中を押し、自分の心に今までに感じた事の無い、心地良い何かを発見する。
















それは、愛だった。













そして病院の外では、赤いランプを回した車が何台も止まっていた。




その車達は、親子をもう一度引き離す為、悲しくゆらゆらと病院を照らし続ける。




やがて竜司は家に着くと武を起こし、香樹を抱きかかえてもう一度病院へ掛けた。









ただ・・・。




















遥の笑顔と、その家族の為に・・・。










そして病院では、別れの瞬間が来ていた。