幸せという病気

通夜が終わる頃・・・。

弘樹の妻、『神谷 直子』が、話があると武を呼び出した。


「今日はありがとう」

「いや。神谷もおつかれ」

「・・・あのね?手紙があるの」

「手紙?」

「うん。弘樹から伊崎君に・・・」

「・・・ドラマだな・・・」


武はそう言い、笑って見せた。

そして神谷から手渡された手紙をポケットにしまい、武は一人、家へと帰る。

星が見えない都会の空の下をただ淡々と・・・。



やがて武が家に着くと、すみれから電話が鳴る。


「もしもし?」

「今日はご苦労様ぁ」

「うん」


すみれは気遣うように、明るい声で話す。


「明日は葬式でしょ?」

「そうだよ?」

「私も連れてってほしいな」

「じゃあ一緒に行こうか」

「うん!・・・あっそれから・・・」

「どした?」

「武は・・・ずっと一緒にいてくれるよね?」

「どうしたの」


すみれの言葉を聞き、武は優しい声で笑って答える。



「・・・死ぬのって・・・怖いね・・・」



「・・・そうだな」



その後二人は、五分程会話をし、電話を切る。

武は、風呂に入り香樹を寝かせると、今度は竜司に電話をした。


十コール目で竜司が電話に出る。