「武か・・・」
「どうしたんすか」
「・・・兵藤が・・・死んだ・・・」
それを聞いた武は、言葉が出ない。
「・・・死んだんだ・・・武・・・」
電話の向こうで茂が泣きながら話している。
武は、涙すら出ない。
そしてようやく、出た言葉・・・。
「聞きたくねぇ・・・」
「武・・・」
「聞きたくねぇ!!!!」
茂は弘樹の眠っている場所を伝え、電話を切る。
武は、弘樹の元へ走った・・・。
まだ信じられぬまま・・・。
病院に着くと、廊下で茂と出会う。
何も会話をせず、茂を睨むように霊安室を開けると弘樹の妻が泣いていた。
たった一人・・・。
「おい・・・なんだこれ・・・何やってんだよおまえ・・・」
武がそう言うと、妻が武に話し掛ける。
「・・・顔・・・見てあげて・・・綺麗な顔して眠ってるから・・・」
「・・・何が綺麗な顔だよ・・・見たくねぇよ・・・こいつの綺麗な顔なんて!!」
「・・・」
武の言葉を聞き、妻は泣き喚いた。
「何やってたんだよおまえはぁ!!!」
兵藤弘樹、享年二十二歳。
武の親友。
