やがて・・・何もかも忘れるように・・・そして何もかもを受け止めるように、二人は抱き合う・・・。
キスを交わし、すみれが尋ねる。
「私が病気になったら・・・毎日こうしてほしい」
「あぁ」
灯りが消えた部屋で、ゆっくりと小さな灯りが灯っていく・・・。
「だったら怖くない」
「先生・・・」
「うん・・・」
「大好きだ」
すみれが微笑むと、やがて二人は本当の幸せに溶け入っていった―――。
そして夜が明ける頃、一つの命が消えようとしていた・・・。
午前六時十七分。
武の携帯が鳴った。
「はい・・・」
武は寝起きの声で電話に出る。
「武さん!!遥が!!」
電話は竜司だった。
「どうしたんだよ・・・」
「病院来てください!!・・・早く!!」
「なんかあったのか!?」
武は電話を切り、その声で起きたすみれに事情を話すと、遥の病院へ駆けた。
すみれもすぐに仕度をし、武の後を追う。
午前七時二十八分。
病院に着いた武は、目を疑った。
