「遥ぁ。無いなら無いでなんで昼間買っとかないの」


武が遥に怒りをぶつけると、遥も決まって反論する。


「まったく忘れてた人に言われたくない!」

「饅頭じゃなくても香樹のお菓子でいいじゃんか」


武がそう思いつくと遥が言い返した。


「お菓子も出すけど饅頭も出すの!」

「・・・遥、おまえどうゆうこだわり!?」


少し呆れたように武が伺う。


「いいのっ!」

「せんべいとかでいいんじゃないの?」

「・・・お母さんは饅頭出してたのっ!だから・・・」

「・・・めんどくせぇな、おまえはホントに!・・・買ってくるよ・・・」

「あっ、お願いしまぁすっ」



しぶしぶ武は、遥に言われたものを買出しに出かけた。


饅頭と青ネギ。


「青ネギは明日絶対に関係ねぇだろ・・・」


と、思いつつ二十四時間スーパーへ自転車で駆けていった。

月明かりがキラキラと映る川を横に、十五分ほどでスーパーに着く。

まず青ネギを探し、その後饅頭を見つけると、レジから・・・。


「馬鹿たれ!なんで無いんだよ!食パンくらいいつでも置いとけ!」


店員に文句を言っている男も見つけてしまった。


「無視無視・・・」


武は別のレジを使い、知らん顔で店を出た。

「よし、帰って風呂だ」そう思って自転車に乗ろうとしたその時。




「おいっ兄ちゃん」



さっき文句を言っていた男が武に声をかけてきた。