「……き??…つ…ばき…」 遠くのほうで誰かがわたしの名前を 呼んでいる。 「ごめんね…ごめんね、椿…ごめんね」 お母さん…?? お母さんなの…?? 泣いてるの?? …泣かないで。 「…おか…さ……」 わたしは精一杯言った。 とても小さなかすれた声で。 気づいてもらえないほど小さな声。 でもお母さんはわたしの声に 気づいてくれた。