外に出る前に、窓から状態を覗き見た。とりあえず、ぱっと見たところ煙などは出ていないようだ。
次に窓を開けて空気の臭いを確かめた。焦げ臭くは、なかった。
しばらくしても、火の手は上がりそうもなかった。それを確認すると、作り終えておいた料理にラップをして、携帯を片手にお隣さん家へ向かった。
ピンポーン。と、ベルを鳴らしたが、出てくる気配がしない。仕方ないのでもう一度鳴らすと、インターホンから花沢さんの微かな声が聞こえる。
『ざざっ……た、すけ……ざざざー』
「花沢さん!? 花沢さぁーん!?」
ノイズ混じりの中、微かに聞こえた彼女の声が確かなら、『助けて』と言ったはずだ。
懸命にインターホンに呼びかけたが、それ以降ノイズしか聞こえなくなった。