あの日、かなり時間が過ぎていたことにやっと気付いて、慌てて夕飯を食べに戻った。すると、我が母親によって、既に夕食は始められていた。気合いを入れて作った豚肉と野菜のあんかけも、母親の胃袋にかなりおさまっていた。
 仕方なしに、僕と花沢さんは残り少ないあんかけを、2人で分け合った。確かに美味しかったのだが、健全な男子高校生としては物足りなかった。
 溜め息を吐きながらベッドに向かったが、空腹感は睡眠を妨害した。よって、目覚ましが鳴る5分前に起き、匂いに苦しみながら朝食を作り、お先に頂くことにした。
 
 今日の朝食は、何故だか異常に美味しかった。かなり多めに炊いておいたご飯が、あっと言う間に母親の分だけになったのは、言うまでもなく。非常に良い気分で学校に行けた。
 普段は気だるくて、帰りたいとしか思わなかったのに、気分が良い。午前中の授業を終始ニコニコしていた僕に、クラスメイトと親友は冷たい視線を浴びせた。