「男だろうが魔女は魔女。元々、性別は無かったのよ」

 初めて聞いた事実に、僕は感嘆の息をもらした。
 あ、いやいや。納得をしている場合じゃない!疑問を、疑問を投げかけ続けるんだ。

「なんで弟子なんて、」

「音が聞こえたってことは、魔法を理解できる耳をもってる。それに、キミの様子から見て、あの煙も見えたでしょう?」

 僕は隠す術が無かったので、素直に頷いた。すると、彼女は「やっぱりね」と言いながら、うんうん頷いた。
 でも、よく考えたら、僕は弟子になることを嫌がる理由がない。花沢さんのことは、――まあここ一週間の付き合いだが――嫌いではない。それに、よく分からないけれど、『魔女』には興味がある。
 なんだ。嫌がる理由なんか、無いじゃないか。

「あの、僕が弟子で良いんですか」

「ええ、もちろん! なってくれる?」

「はい!」


 こうして、僕は花沢さんの弟子となった。花沢さんが、どんな『魔女』なのか知らず。『魔女』の弟子がどんなものかと、一人妄想を膨らませていた。