「そう。どんなくだらない魔法でも、創ることができたら天才魔女、だから」

「天才、魔女。」

「そう。魔女の中の魔女よ」

「あ、でも何故、僕にはさっきの爆発音が聞こえたんでしょうか?」

 会話に魅了されるのも程ほどに、話を切り替えると、彼女は途端に悩み始めた。その顔は、まるで不味くてへなちょこなクロワッサンを食べたみたいだ。
 そんなクロワッサン、絶対食べたくないと思った。

 そんなくだらないことを考えていると、彼女は顔を引き締め、隊長のように話し始めた。

「平谷くん。いえ、ツバキくん!」

「は、はい!」

 僕は思わず敬礼をして、気をつけの姿勢をとり、お腹に力をいれた。
 彼女はそんな僕の姿をみて、満足げな笑みを浮かべた。

「キミを、私、『魔女』花沢メイカの弟子にします!」

「はい! って、え!? えぇ!?」

 緊張感に乗せられ、「はい」と返事してしまった。
 花沢さんの弟子になる。それは、僕も『魔女』になるということ。あ、僕は男だから魔法使いか……?

「あ、あの僕は男ですよ?」