うっとりと何度も空に浮かんでは消える花火を見ていると、

声が聞えました。

『火事だぁぁ!早く帆の火を消すんだ!』

後ろを振り向くと、大きな船が真っ赤に燃えて浮かんでいました。

『人間に見つかってはいけない。』掟があるけれど、

もしかしたら人間を生で見れる絶好のチャンスかもしれない。

そう思ったメアリーは船に向かって泳いで行きました。

「大きい…」

船の近くに行くと、メアリーが思っていた何十倍もの大きさの船でした。

今だに、赤い炎が船を照らしてます。

『王子っ!王子は逃げてください!』

声が聞えたのでメアリーは急いで海に顔まで沈めます。

しかし、メアリーは人間の声をもっと聞きたいと思い顔をほんの少し海面に出しました。

『王子、逃げてください!』

『そんなことはできないっ!みんなを置いて俺だけ逃げるなんて…。』

王子と呼ばれる人と、もう1人の人間は言い合っています。

『王子、この船は俺たちの命なんです。コイツと一緒に俺たちはいたいんです。王子、すみませんっ!』

ドボンッと音がして何かが海に投げ込まれました。

メアリーは、投げ込まれたものに近づきました。