「ミホ」


あたしを呼ぶ『彼』の声は何故だかあたしの中に優しく響いて、本当の名前を教えれば良かったって思った。


「うん?」

「そろそろ出ねぇ?」


あたしの返事を待たずに伝票を持ってもう立ち上がろうとしてる『彼』。


「うん」


さっさとレジへ向かう『彼』を追ってあたしも立ち上がった。