「ミホ?」


誰かの声が近くで聞こえた。

ずっと空を眺めていた視線を声のする方に向ける。


「やっぱりミホだ」


そう言って嬉しそうに近づいてくるのは、どこか見覚えのある顔だった。


というより、あたしを『ミホ』と呼ぶのは『彼』しかいない。


だってあたしのホントの名前は『ミホ』じゃない。