「……うぅん」


あたしの溜め息とも苦笑いともつかぬ音に反応したのか後ろから聞こえる目覚めの声。


「…みほ」


寝起き特有の掠れた声は小さくそれでもはっきりとあたしの耳に届く。

その『みほ』は、あたしに向けられたものじゃない事くらい解る。


だってあたし達、そんな関係じゃないじゃない?

昨日初めて出会ってきっとこれからなんてない。


だから、あたしは触れていた腕からそっと手を離した。


温もりなんてまた探せばいい。


直ぐに見つかる。


愛なんかよりも手っ取り早くて、とても薄っぺらい関係。