いつもの華麗な作り笑顔で手を振りながら俺は教室へと入る。 チャイムが鳴ってしばらく経ったからか、もう教室には人がまばらだった。 お弁当を食べる奴、購買で買ったパンを食べる奴、コンビニの袋をガサガサしてる奴。 ――そして肝心の狼は、机に頬杖をつきながら俺を見つめていた。 「やぁやぁ。待った?」 笑顔で話しかけるも、彼は俺を見つめたままだ。