一匹狼と無邪気なワンコ


「あの子は気難しい性格をしていたからね。それなのに仲良くしてくれていたみたいで……なんていったらいいか……」


 そう言ったあと、親父さんは水色のハンカチで両目を抑えた。



「すいません……俺……アイツの悩みに気が付いてあげられなかったんです……」


 俺の言葉を聞くと、親父さんは首を横に振った。


 そしてまた笑顔で俺を見た。


「君は何も悪くない。原因はまだ分かっていないが――君じゃないというのは分かる」



 ――原因。