「だから――誰かに近付くつもりも、馴れ合うつもりもなかった」 俺は時々箸を休め、狼の話を聞いていた。 「お金が必要で、でも学力も必要だったからここに来ていたんだ」 「学力?」 「父親が高校だけは出ろって言って聞かないんだ」 「ん~。俺の親父もそう言ってるね」 箸が止まったままなのを指摘しながらも俺は答えた。 腹が減っては何とやら。