一匹狼と無邪気なワンコ



「どうした? 屋上行かないのか?」



 当の本人は周りの空気なんてお構いなしに――いや、鈍感だから気付いてなさそう。


「あー、いくいく。今すぐ行く」


 俺と狼は教室を後にした。



「キミあれだね。笑ってた方がいいね、やっぱ」


「笑う?」


 何これデジャヴ?


 最初の頃もこんなようなやり取りしてたよな。


 本人は笑った事にまったく気が付いてなかったなー、当時は。