一匹狼と無邪気なワンコ


「俺のせいで……死んじゃって……母親だって……」


 言いながら、一筋の涙が頬を伝う。


「お父さんと二人暮らしだったわね」


「うん……」


「頑張ったのね」


 俺は思い切り首を振った。


「自分で気が付いていないだけ。小さい頃に必死になって笑顔作って、心の壁まで作ってしまったのね」


 ――悲しみを断ち切るように、とセンセは付け足した。