今日狼に俺の事を――俺の過去を――本当に話すのだろうか。


 陸ってこんな怖い人だからやめた方がいいですよー。とか?


「ないない」


 千佳に限ってそれはない、胸を張って言える。


 俺は仏壇の前に座り、丁寧に手を合わせ、お線香をあげた。


 どう語りかけたかなんて、一生涯誰にも言わない、言えない。