一匹狼と無邪気なワンコ


「もう……同じ過ちはしちゃだめだぞ」


 親父だけは俺の味方だった。


 親父だってすごく辛かっただろうに。


 ――それから暫くして俺の誕生日当日。


 親父はいつものように大きなショートケーキを買ってきてくれた。


 俺と、親父と、うつろな目の母親の三人。


 凄く幸せそうな俺の顔を見て、母親は立ち上がった。


「ケーキ、切ろうね」