一匹狼と無邪気なワンコ


「ママ……?」


 なんて俺が話しかけようものなら、近くにあったものを全て投げてよこした。

 ――それも無表情で。


「俺、約束守ったのに……」


 なんて悲劇のヒロインぶった俺に、母親はいつもこう言った。


「あんたなんて生まなければ良かった」


「ユキとアキを返してよ」


「代わりにいなくなっていいから」


 そう、俺の目をまっすぐ見ながら。