一匹狼と無邪気なワンコ



 俺は何もかも思い出した。


 俺が二人を――可愛いきょうだいを――惨殺した。


 
 その後俺は施設みたいなところに暫く入れられていたんだ。



 大人は皆俺の顔色を伺いながら接してきた。


 凶器になりそうなものはすぐ取り上げられた。


 親父とも中々会う事が出来なかった。


 そんな俺が実家へ戻った時、母親は狂っていた。


 あの綺麗で優しそうな面影など微塵も感じられなくなっていた。