一匹狼と無邪気なワンコ


 右手にはまだハサミがしっかり握られている。


――最低だ。


 そう思った瞬間、激しい頭痛が俺を襲った。


 そして激しいめまいに耐えられず嘔吐してしまった。


「っ、はぁ、はぁ……ごめん、ごめんな……」


 俺の頬を何度も何度も涙が伝う。


 何度も何度も謝っても、もう目の前の二人は戻ってこないだろう。


 だってもう……存在していないのだから。