一匹狼と無邪気なワンコ


 もう逃げる気力などとうに失っているのか、ユキはあれから座り込んだままだった。


 抵抗しても無駄だと小さいながらに判断したのだろう。


「女の子いじめたらダメってママに言われたけど、ユキ悪い子だからね」


 そうつぶやいた俺は、アキにした時と同じようにユキを差し、刻み、今度は右目にハサミを突き立てた。

 
――なんで俺、そんな楽しそうなんだ。


なんで俺、忘れてたんだ。


 なんで俺、こんな事したんだ……


「ただいまー! ごめんねー。ゆう君ママとお話ししてたのー」