一匹狼と無邪気なワンコ



 俺はただ、その光景を見ていることしかできなかった。


 目をつむる事なく、忘れていた過去の事実をもう一度胸に刻むしかなかった。


「いたっ! いたいいい!」


 泣き叫ぶアキを見て、ユキは恐怖のあまりその場に座り込んでしまった。


「ごめんなさい! ごめんなさい!」


 そう何度も叫ぶアキを無視し、俺は楽しそうにいろいろな場所を切りつけている。


 逃げるアキを追いかけ、何度も何度も切り付ける。