一匹狼と無邪気なワンコ


「もう怒ったから!!」


 半泣き状態の俺は、わざと大きな音を立てながらどこかへ駆け出した。


 残された二人は不安そうな、そして心配そうな表情で事の成り行きを見守っている。



――ガシャン!


 物が落ちたような音がした後、またも俺は大きな足音を立てて二人のいる場所へ戻ってきた。


――右手にはハサミという、その場に不釣り合いな物を持って。


「い、いけないんだよ! 危ないから!」


「怒られるよ!」