一匹狼と無邪気なワンコ


「着替えるのダルイかも」


 いつもならここで二階の自分の部屋へ上がり、着替えるんだけど……。


 今日はなぜかそんな気分にならなかった。


「ただいま……」


 仏壇のある部屋へと行き、手を合わせる。


 そこには微笑む俺の母親の遺影が飾られていた。


 正直、母親との思い出なんてこれっぽっちも残っていなかった。


 顔だっておぼろげで、遺影を見てもなんとも思わない。