一匹狼と無邪気なワンコ


「陸ー!」


 胸がザワつき始めた時、聞きなれた声が俺を呼ぶ。


 その瞬間、俺は周りの空間に溶け込んだ。



「千佳……なんか用?」


 振り向いた俺の顔を見るや否や、急に千佳の顔付きが変わったのは気のせいか?


 そんな――やめてくれ――そんな顔で俺を見ないで。


「今日、夕飯食べに来ない?」


 千佳が俺の左手を両手でギュッと握ってきた。