一匹狼と無邪気なワンコ


「それは無理だ」



 体育着入れらしい布製のバッグから、大きめのタオルを取り出しつつ狼が答えた。


「ハァ……。キミってホント真面目だよね」


 溜め息をつく俺の顔を見向きもせず、狼は教室の外へと歩いている。


 後ろ姿も立派でカッコいいのに、なんで女にちやほやされないんだろうか?



「――俺の相手が居なくなるだろ」