一匹狼と無邪気なワンコ


「またあとでね!」


「いや、いいし」


 
 千佳の走る姿を眺めつつ、俺はのんびりを上履きを履く。


「あ……」


 軽く伸びをした瞬間、後ろから声が聞こえた。


 ゆっくり振り向くと、そこには野中が気まずそうな顔で突っ立っていた。



 ――いや、気まずいのなんて俺もだし。