「あー。グダグダしすぎた!!」 朝食なんて用意してる時間もなく、俺はひとまず洗面所へと向かった。 クリアな水色の歯ブラシに、果実風味の歯磨き粉を三分の一程度つける。 「……うえ、ゲロまず」 朝からこんなフルーティーな歯磨き粉なんて、気持ち悪くて仕方が無い。 親父は新商品が好きだから、俺はそれに付き合わなくてはならないのがキツい。 一番ダメだった歯磨き粉は――ダメだ、思い出したくもない。