一匹狼と無邪気なワンコ


 そう言った狼は掃除用具入れに向かい、いつもの丁寧な仕草でホウキを取り出した。



「最初からそうすりゃいーっしょ」


 ボソッと嫌味を言った野中は俺からスッと手を引いた。



「ん~、殴っても良かったのに」


 笑顔で言う俺に、野中は眉間にシワを寄せている。


「……はぁ? 小野寺お前――」