自分の名前を呼ばれたわけではないのに、俺は急いでそちらを振り向いてしまった。 誰かが狼の名前を呼ぶのなんてありえない事だったし――うん。 それに、呼んだ声が怒りに満ちている感じがした。 「……なんだ?」 そんな声に平然と答えている狼と、明らかに怒りオーラ出してる奴が一人。 ――と、その周りにオロオロしてる奴が数人。