一匹狼と無邪気なワンコ


 彼はスタスタと進み、もう体が半分隠れる所まで階段を上ってしまっていた。


 ピタリと止まったところを見ると、話を聞く気がまだあるらしかった。


「キミ、やっぱ面白い! 今から友達ね!!」


 返事もせず、彼は再び階段を上り出した。


 とうとう姿が見えなくなった今でも、俺はそこに立ち尽くしていた。


 チャイムが鳴り響いていても全く気にならない。