「ん~、似合ってる。ってのはどうでもいいけどどこで働いてんの?」 狼は面倒くさそうに、親指で隣の建物を指差す。 けれどこっちは店の裏側なのでここがどんな店なのかは分からない。 「ここ――あの、大滝先輩。バーで働いてるんですか?」 千佳の話によるとここは隠れた名店かなんかで、千佳の両親の知人がよく来ているらしい。 「だったら?」 今にも千佳に食い付きそうな言い方だったので、慌てて俺が話しに入る。 「キミ、ダブってなければ俺と同い年でしょ? ダブってたとしても高校生なのにイイの?」