「陸……今日は一緒に帰ろ?」 「ん~、分かった」 今にも泣きだしそうなその顔、久しぶりに見る。 そしてその顔は――俺の中の何かを刺激する。 「千佳……俺、昔の事覚えてないんだ。でもなんか引っ掛るんだよ」 一瞬、千佳の顔が引きつったように思えた。