「あの、携帯貸してもらえますか?」 「携帯?あぁ、後ろにある黒い鞄に入ってるから勝手に使ってくれ」 冴島さんはハンドルから片手を離して後部座席の黒い鞄を指差した。 その鞄を手に取ろうと身を乗り出して腕を伸ばす。 と、届かない…。 「シートベルト外せばいいだろ」 「あ、そっか」 「やっぱり馬鹿だな」 ただ鞄を取るだけのことで悪戦苦闘している私に彼はニヤリとほくそ笑んだ。 こいつ………! マジでムカつく!