「どうぞ」 「…お邪魔します」 冴島さんに促され、黒いワゴン車に乗り込む。 こんな奴の世話になるのは嫌だったけど、夜の繁華街は危ないからと言って半ば強制的に家まで送ってもらうことになった。 車内には、これといって特徴的な物はなく、隅から隅までピカピカで、まるで新車みたい。 乗り心地も最高。 小刻みに揺れ動く車の振動と、ラジオから流れる心地よい音楽に自然と瞼が重くなっていく。 襲い掛かる睡魔を首をぶんぶん振って吹き飛ばした。