「あの日僕はこの木に
お別れを言うつもりだった。」


 亮君が木を見上げながら
話し始める。
愛おしそうにその木を
見上げている。



 「そうしたらこの木の下で
泣いている君を見つけた。」



胸が熱くなる。
あの日の出来事が蘇える。



 「亮君なの? あの日の」




 「そうだよ。 僕だよ。」



 「真幸が話してくれた初恋の話し。
  本当にビックリしたよ。 
でも確信をもってた訳ではないんだ。 
似たような話しはいっぱいあるし。
 でも今日君がここに来てはっきり
確信したんだ。
あの時泣いてたあの女の子だって。」