「真幸。」


木の陰からわたしの名前を呼ぶ声。



木の樹に左手を当てて、
身を預けながら
わたしの目の前に現れたのは
亮君だった。



いつもとちがって物静かで
まっすぐわたしを見ている。



 「どうして・・・。」


この状態が上手く理解できない。


そうか。 温人に聞いて
冷やかしに来たんだ。

待ちぼうけするわたしを見て
馬鹿な奴って笑うつもりでしょう。


でも・・・ちがう。


わたし、約束の場所までは
温人に言ってない。



ならどうして。

どうしてよ。